加齢黄斑変性とは?症状、治療法から、予防・チェック方法まで、すべて解説

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眼はさまざまな部分からできた複雑な器官で、加齢とともに各部分に機能の低下が生じます。それに伴い、生活に支障を来すような病状が現れることもあります。そのひとつが加齢黄斑変性です。

加齢黄斑変性では、視野の中心部がゆがんだり、暗くなったり、見えなくなったりします。周辺部はぼんやり見えるのですが、もっとも注目したい部分が見えにくくなるため、生活に大きな支障をきたします。進行すると失明に至る場合もあります。

従来は欧米に多く、日本人には珍しい病気とされてきましたが、近年では日本でも患者数が増加しており、日本人の失明原因の第3位となっています。

現在のところ加齢黄斑変性を完全に治療して健康な状態に戻すことはできませんが、進行を食い止めたり遅らせたりすることは可能です。したがって、早期に発見して治療を開始することが非常に大切です。

このページでは、加齢黄斑変性の症状、タイプ、検査、治療法についてわかりやすく解説していきます。手軽なチェック方法も紹介していますので、ぜひ早期発見に役立ててください。

目の働きと黄斑

人は光によってものを見ています。目の前にある時刻表を読み取る場合を考えてみましょう。

時刻表の表面で反射した光は目のレンズ(水晶体)を通って眼球の中に差し込み、眼球の奥にある網膜と呼ばれる部分に達します。網膜では、時刻表の各部分から来る光の色などが細かく検知されます。これにより、時刻表の地の部分と枠線、数字などがはっきりと見分けられ、時刻表を読み取ることが可能になります。

網膜の中でも黄斑という黄色みを帯びた部分では、とくに繊細な検知が可能です。黄斑の中央にある中心窩は網膜の中で最大の検知力を持ち、視野の中心から来る光がちょうど当たる部分でもあります。

黄斑(とくに中心窩付近)に障害があると、視野の中心(注意を向けた箇所)が見えづらくなります。目の前に時刻表があることはわかっても数字が読み取れなかったり、向こうから誰かが歩いてくるのはわかっても顔を見分けられなかったりするのです。これがまさに加齢黄斑変性の症状です。

加齢黄斑変性の症状

加齢黄斑変性の発病初期には、視野の中心だけがゆがむという症状が起こります。細長い物体や格子模様などを見るとゆがみがよくわかります。

病気が進行すると、ゆがみに加えて視野の中心に真っ暗な部分(中心暗点)が現れます。物を見分けづらくなり、文章の読み書きにも支障を来します。治療しなければ症状は進行していき、視力は0.1以下に落ちるのが通例です。

左右いずれかの眼に発症する例と両眼に発症する例があります。両眼に発症する場合も、左右で発症時期や進行具合が異なるのが普通です。片眼だけ発症している場合、両眼でものを見ている間はよいほうの眼が視野を補ってしまい、ゆがみなどの症状が自覚されないことがあります。

加齢黄斑変性の原因とタイプ

加齢黄斑変性のおもな原因は網膜の奥にある網膜色素上皮細胞の老化です。これにより黄斑に2つのタイプの障害(萎縮型と滲出型の加齢黄斑変性)が生じます。

網膜の構造と加齢黄斑変性の原因

網膜周辺は下図のような層構造をなしています。

 図1:網膜の構造

網膜の細胞構造についての図

網膜は数種類の神経細胞が整然と並んでできています。神経細胞は光を検知して情報を取り出し脳に送るという機能を持ちます。

網膜の奥には網膜色素上皮細胞の層があり、神経細胞の素材を作ったり、老廃物を処理したりして、網膜の新陳代謝を支えています。

さらに、色素上皮細胞の層の奥に多数の血管が通った脈絡膜と呼ばれる層があり、網膜に酸素と栄養を補給するなどの役目を果たしています。

加齢により網膜色素上皮細胞の働きが衰えると、脈絡膜との境目に老廃物が沈着し、これがもとで周囲の網膜に障害が生じます。こうした障害が黄斑部に生じたものが加齢黄斑変性です。

加齢黄斑変性には、紫外線、喫煙、食習慣、遺伝なども影響していると言われています。女性より男性のほうが発症しやすい傾向があります。

加齢黄斑変性のタイプ:萎縮型と滲出型

萎縮型の加齢黄斑変性では、黄斑周辺の網膜色素上皮細胞の層が徐々に萎縮し、網膜が薄くなっていきます。視力の低下がゆっくりと進行していくのが特徴です。萎縮型は欧米人に多く、日本人には少ないと言われています。

滲出型の加齢黄斑変性では、老廃物の沈着が進むとともに血管内皮増殖因子(VEGF)と呼ばれるタンパク質が増加し、このタンパク質の働きで異常な血管が生まれ、脈絡膜から黄斑の網膜に向かって増殖していきます。

新しく生まれた血管(新生血管)は非常にもろくて破れやすいため、出血が生じたり血液の成分が滲み出たりします。その結果、黄斑の神経細胞の機能が損なわれて加齢黄斑変性が発症します。滲出型は進行が速く、突発的に大幅な視力低下が起こる場合もあります。

加齢黄斑変性の検査

加齢黄斑変性の診断には、患者さんに見え方を尋ねる検査と、器具などを使って網膜の状態を調べる検査が用いられます。

見え方の検査|視力検査とアムスラー検査

加齢黄斑変性では視力低下が起こるため、一般的な視力表を用いた視力検査が行われます。

さらに、加齢黄斑変性特有の症状である視野のゆがみや中心暗点の有無を調べるため、格子模様を使った検査(アムスラー検査)が行われます(図2)。視力検査と同じく片眼ずつ検査します。

図2:アムスラー検査

散瞳検査(眼底検査)

眼球の底面部を観察し、網膜の状態を調べる検査です。眼底を観察しやすくするため、瞳孔を広げる効果を持った目薬(散瞳薬)を点眼します。散瞳検査により異常な新生血管の増殖や出血などの様子がわかります。

散瞳薬を点眼してから数時間程度の間は普通の光でもまぶしく感じるようになります。そのため車の運転などは控える必要があります。

蛍光眼底撮影(造影検査)

蛍光色素(造影剤)を腕の静脈に注射したのち、特殊なフィルターを通した光を使って眼底の写真を撮影して観察します。

注射された蛍光色素は血流に乗って網膜周辺の血管まで運ばれてきます。そこに特殊な光を当てて撮影すると血液の部分がくっきりと写った画像が得られ、問題のある血管のある箇所や血管が破れて血が漏れている箇所などが発見できます。

光干渉断層計(OCTスキャン)

専用装置を使って網膜の断面を撮影して観察します。撮影する断面を少しずつずらして連続的に撮影することで、網膜の様子を立体的に把握することもできます。加齢黄斑変性かどうかの診断に使われるだけでなく、治療の効果を測るのにも有用です。

短時間で検査が完了するため、患者さんの負担が軽いというメリットがあります。

加齢黄斑変性(滲出型)の治療方法

萎縮型の加齢黄斑変性には残念ながらまだ有効な治療法が存在しません。滲出型に対しては薬剤やレーザーを使った治療法などがあります。さらに、iPS細胞を用いた再生医療の研究が進められており、根本的な治療につながるものと期待されています。

眼内注射(抗VEGF薬の硝子体内注射)

薬剤を投与して新生血管の増殖を抑える治療法です。新生血管は血管内皮増殖因子(VEGF)というタンパク質の働きで成長します。そこで、このタンパク質の働きを抑制する薬(抗VEGF薬)を眼に注射し、これ以上新生血管が増殖しにくい状態にして、加齢黄斑変性の進行を抑えます。注射前に麻酔を施しますので、痛みはほとんどありません。

まずは1か月程度の間隔をおいて計3回の注射を行います。その後は定期的に検査をして様子を見ながら、必要に応じて注射を繰り返していきます。

特殊レーザー治療(光線力学的療法、PDT)

光に反応する薬剤を体内に投与(点滴)したのち、患部の毛細血管を狙って非常に弱い出力のレーザーを照射します(図3)。

投与された薬剤はやがて患部の新生血管に届きます。そこにレーザーの光を当てると、薬剤と光が反応して新生血管が破壊されます。他の部分にはダメージが生じないように弱いレーザーが用いられます。

生活する上での注意点

禁煙
喫煙者は加齢黄斑変性になる危険性や、加齢黄斑変性の悪化リスクが高いことが分かっています。そのため、禁煙が勧められます。

サプリメント
ルテイン・ゼアキサンチンといった抗酸化物質を含むサプリメントの内服により、加齢黄斑変性の発症が抑えられることが、研究(米国国立眼研究所による大規模試験 AREDS2によりわかっています。加齢黄斑変性発症リスクの高い患者さん、既に加齢黄斑変性を発症された患者さんには、サプリメントの内服をお勧めします。当院でも、上記AREDS2に基づいて製造されたサプリメント”いいめ”を販売しております。

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