トラブルの少ない 先天性眼瞼下垂症の手術とは。

重度先天性眼瞼下垂症の写真

2020.4.23 記事内容の追加を行いました。

一般的に、眼形成外科医にとって、先天性眼瞼下垂症は非常に悩ましい症例となります。

そして、手術は、挙筋短縮法、前頭筋吊り上げ術が挙げられますが、どちらにしてもひとみ眼科としては、問題の多い手術だと認識しており、可能な限り避けるようにしております。

挙筋短縮術の場合では、ミュラー筋と眼瞼挙筋との分離が必要であり、術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)のトラブルを考えて、ミュラー筋の温存を大事だと考えるひとみ眼科としては基本的に行いません。

>>術後眼瞼痙攣(眼瞼けいれん)を知りたい方は、こちらの高田医師の眼瞼下垂症ブログをご覧になってください。

そして、前頭筋吊り上げ術でも、眼瞼のデザイン性や動的な意味での瞬目(まばたき)の不自然さに問題があると考えているからです。

先天性眼瞼下垂症でも軽度の方だと、ご本人としては後天性眼瞼下垂症と認識しているケースもあります。

その場合、術者も挙筋機能の少ない後天性眼瞼下垂症と考え、眼瞼挙筋前転術などを行い、結果として、全く目の開きが改善せず、失敗に終わるケースが多くあります。

しかしながら、先天性眼瞼下垂症においては、眼瞼挙筋機能が非常に少ない(言い換えれば、筋力がない)状態ですので、完璧に自然な状態に変えてしまうことは難しいと言えます。

しかしながら、ベストはなくても、よりベターな方法というのを模索することが大事だと考えております。

先天性眼瞼下垂症は、眼瞼挙筋の発達異常(先天異常)があり、筋肉が繊維化したような状態になります。筋肉は通常しなやかなゴムのように伸び縮みするものなのですが、先天性眼瞼下垂症の眼瞼挙筋は、ペラペラなプラスティックにような弾性がない状態になっております。当然、筋肉のような働きは望めません。

ひとみ眼科では、長年工夫し、編み出してきたオリジナルの手術方法を上手く先天性眼瞼下垂症へ落とし込むことで、よりベターな結果を出せるようになってきたと考えております。

手術を行ったら、こんなに目が開きやすくなったのは、生まれて初めてだったと言われる始末ですから、生まれて目がしっかり開いたことがない。つまりは、先天性眼瞼下垂症となるわけです。

そのようにおっしゃられた術例を挙げさせて頂きます。

左目の先天性眼瞼下垂症の症例(手術前)

数十年前から瞼が下がっていることには気づいていたが、見た目には問題あっても、視力的には不自由さがなかったため、そのままにしておいたが、最近、車の運転の際に片目だけの視力では危険を感じ始めたため、手術を希望。

この写真では、結構開いているように思いますが、最大限、見開いた状態であり、通常時は、以下の写真の状態です。

手術前のスリット(前眼部検査)の際の写真

力を抜いて、普通に開いた状態では、瞳孔が瞼によって被さってしまい、視界がかなり遮られてしまった状態となっています。
たしかに、この状態なら、運転に支障が出るという訴えには納得できます。

左目の手術中の最終状態
年齢・性別78歳男性
治療内容・期間眼瞼挙筋前転法・3ヶ月以上
リスク・副作用等肥厚性瘢痕・炎症性色素沈着・眼瞼下垂症の再発
発生した有害事象術後、皮下出血・ドライアイが見られたが消失。
費用手術費用:15000円 術前術後検査:3000円

手術中のデザインの確認の最終段階での写真。
ほぼ、左右差がなく、むしろ、先天性眼瞼下垂症のある左目の方が開いているような状態になっております。先天性眼瞼下垂症の瞼は、術後、戻りが出てきて、目の開きが少しだけ弱くなることから、術後の左右差がなくなるように計算してわざと過矯正にしております。

このように、先天性眼瞼下垂症でお困りの方は、術後に問題が多い眼瞼挙筋短縮法、前頭筋吊り上げ術を受けられる前に、ひとみ眼科にご相談くださると幸いです。

エピローグ:その後の経過・・・

抜糸直後(術後14日目)

手術後14日目の状態となります。
抜糸直後ですので、二重の状態は落ち着いておりませんが、この状態でも、内出血も少ない、切開法と思えないような状態だと思いませんか?
黒目に対しての上眼瞼の被り方(黒目の形)を見ていたければ、ほぼ左右差がなく、満足の仕上がりだと思います。
ご本人も、生まれて初めての視界の広さに非常に満足をされておられ、抜糸後に握手を求めて来られるぐらいでした。
全ての患者様が満足していただけるように、努力を続けたいと思ってます。

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