緑内障とは

緑内障とは、眼から入った光の信号を脳へ伝える網膜神経が障害を受け、徐々に視野(見える範囲)が狭くなる病気です。残念ながら一度障害を受けた網膜神経は回復しない為、薬剤や手術などの治療を行いながら、一生の付き合いとなる病気です。 治療を継続した場合、多くの患者さんで病気の進行を遅らせることが出来ますが、継続治療しないと、場合によっては失明してしまう病気です。

そういうこともあり、緑内障とは、眼科の普段の診療において、見逃すことがないように、一番気を付けている疾患です。
ほとんどの患者さんで自覚症状なしに始まり、気が付いたら手遅れの状態になってしまうこともあります。そのため、可能な限り早く見つけて、治療を開始することが大事な疾患です。

一言で緑内障と言っても、様々なタイプの緑内障があります。
急性発作タイプ慢性タイプの大きく2つに分けて考えると分かりやすいです。

急性発作タイプの緑内障
主に白内障の進行により、目の構造に異常が出てしまい、ある日突然発作を起こしてしまうタイプのものになります。
もう少し詳しくいうと、白内障になると、水晶体が大きく膨らんできます。その膨らみによって、目の中の水の排出路が狭くなってしまい、目の中の水の排出が出来なくなって目の中の圧力(眼圧)が急上昇してしまうことで発症します。
発作が起きた場合には、激しい頭痛と吐き気の症状が出現し、脳出血と間違えられることもあるぐらいです。そのまま、放置すれば、数日で視力を失ってしまうこともある怖い病気です。

治療方法:この急性発作タイプのリスクの高い患者さんは、なるべく早くに白内障手術を行うことで、急性発作を予防することができます。

慢性タイプの緑内障
日本人に最も多いタイプです。
正常眼圧緑内障、開放隅角緑内障とも言われます。病気の進行(視力の低下や視野の欠損)は遅いのですが、しっかり対応しないと確実に徐々に進んでしまうものです。40歳以上の日本人の5%が持っている病気になりますが、早期の自覚症状がないために気づかないまま未治療の患者さんがとても多いです。

治療方法:完治させることは出来ず、進行を出来るだけ抑えていくという考え方で治療を行っていきます。眼圧(目の圧力)を下げると病気の進行がゆっくりになることがわかっています。眼圧を下げる方法としては主に薬物療法(点眼薬)と手術治療があります。 それぞれを使い分けたり両方行ったりします。

薬物療法について
近年、薬剤の進歩は目覚ましく数多くの薬剤が販売されており、緑内障治療の中心的な方法となっています。緑内障の進行を抑えるためにできることは、出来るだけ安定して眼圧を低い状態にしておくことです。薬には副作用もあり、少ない副作用で、最大限眼圧を下げられる、その方にとって相性の良い薬物を見つけていくことが緑内障診療の中心となります。

手術療法について
薬剤治療で十分な効果が得られない場合や、点眼薬を使えない患者さんの場合、手術治療を行います。逆に言うと薬剤(点眼薬)で眼圧が下がり、病気の進行が抑えられている場合は種々のリスクのある手術治療はお勧めしません。
手術治療には様々な方法があります。
本当の外科的な治療もあれば、レーザー治療もあります。
レーザー治療というのはSLTと呼ばれ、眼内の水の排出路に特殊なレーザー光線を照射することで、眼内の水の抜けをよくすることです。
外科的治療には、特殊な器具(インプラント)を使って、水の流出路を作るやり方や、そういったものを使わずに目の中の水の流出路を作成する手術等があります。外科的手術治療は、非常にリスクが伴う部分もありますが、薬物療法やレーザー手術では治療効果が上がらず、手をこまねいていると失明することが予見できる際に検討されます。

ひとみ眼科では、主に、点眼を中心として薬物療法を行っております。近い将来にはレーザー治療(SLT)を行う予定でおります。

最近、一部の眼科医師が週刊誌上で「緑内障は手術で治る。日本の眼科医師は緑内障手術をする腕がないから目薬に頼っている。」といった主張をしており、時々患者様より質問を受けますが、それは正しくはありません。手術にはリスクもあり、まずは目薬で治療するというのが世界的にも標準的な治療となっております。以前、私が勤めていた病院で点眼薬治療をしていた末期緑内障の患者様が、藁にもすがる思いで前述の眼科医師の医院に行き、手術を強く勧められて手術した結果、失明してしまい、私のもとに戻ってくるということがありました。その患者様は「先生(私)の言う通り、手術を受けなければ良かった」と後悔されていました。繰り返しになりますが、本当に緑内障手術が必要な場合はもちろんお勧めしますが、緑内障手術にはリスクが高いものもあります。

薬物治療の流れ

緑内障の診断、経過観察において大事な検査には、

視力・眼圧・前眼部検査・眼底検査・視野検査・網膜三次元解析(OCT)がございます。

解剖学的な構造の問題を確かめる検査 と 機能的な問題を確かめる検査に分けると分かりやすいと思います。

緑内障は、目の奥にある視神経が眼圧により押し潰され、網膜の神経線維ごと壊れていくことにより、目の機能が段々と低下していく疾患です。

したがって、視神経の構造(潰れ具合)を調べつつ、網膜の神経繊維の状態を確認することが大事となります。
前眼部検査で眼内の水の流出路の状況の確認、眼底検査で視神経の状態を目視し、網膜三次元解析で視神経の凹み具合の測定と網膜神経線維の欠損具合の測定を行います。

そして、機能の検査として、視野検査、視力検査、眼圧検査で、実際の視野欠損具合、視力低下の具合、そして、眼圧のコントロールの確認を行います。

繰り返しになりますが、慢性型の緑内障の初期症状は、何もないというのが特徴です。

ある日突然、眼科受診の折に、「残念ながら、緑内障ですね。」と眼科医に言われることで発覚することが殆どです。

中には、視野がほとんど欠けてしまっているのに、本人はコンタクトレンズの度が合ってないからだと思い込んでて、緑内障に気づいてないようなケースも経験したこともあります。

近視やご家族に緑内障のある方は、発症リスクが高まりますので、気になる方は一度眼科へ受診し、精密検査を受けることをお勧めします。